「復興需要で7-9月高成長」は本当か
電力不足で夏もマイナス成長
過去20年、我々が目にしてきた景気悪化の主たる原因は、総需要不足であった。しかし、現在、日本経済が落ち込んでいる最大の原因は、東日本大震災がもたらした強い供給制約にある。もちろん、企業や家計のセンチメント悪化が設備投資や個人消費など総需要を抑制しているのも事実だが、主因はやはり供給制約だ。甚大な被害を直接被った東北圏の経済活動が大幅に落ち込んだだけでなく、一福島原発など他県での発電に頼ってきた関東圏で電力不足が大きなボトルネックとなり、経済活動が大きく抑制されているのである。
被災地域における生産設備へのダメージが、高度に発達した製造業のサプライチェーンを毀損し、東北圏・関東圏以外の地域の経済活動を抑制しているが、これらの問題は官民の努力で、徐々に解消されていく。しかし、依然解決のメドが立っていないのが、日本経済の約4割を占める関東圏の電力不足である。
現在は、気温上昇とともに電力需要が低下し、電力不足はいったん解消している。4、5月は、10月と並び1年間で電力需要が最も低い時期である。しかし、6月後半以降、気温卜昇とともに冷房需要が増え、再び電力が不足する。不足の程度は気温次第で予想し難いが、東京電力管内の7月に想定される最大供給能力(4650万kW程度)と過去5年間の最大電力需要量を比べると、7−9月は電力の不足は避けられない。
大震災直後は、停止中の新潟県柏崎刈羽原発2〜4号機や宮城県の女川原発などはいずれ再開され、電力不足緩和につながると期待していた。しかし、福島原発事故が、米国のスリーマイル島原発事故を上回る事態に至ったことから、原発再開に対する地域住民などからの理解を得ることは、政治的に難しい。このため、関東圏・東北圏では真夏、真冬の電力不足がしばらく続くという想定を置かざるを得ない。
復興需要が年後半の成長率を押し上げるとの見方についてどう考えるか。「震災後は、毀損した官民の資本ストックの修復によって、経済成長率が大きく高まる」というのがこれまでの経験則である。しかし、復興のための財・サービスの生産を担うはずの関東圏で、電力不足による供給制約が続くとすれば事態は違ってくる。供給能力が不足するため、すべての復興需要が有効需要になり得ない可能性があり、スムーズな復興を妨げる。
もちろん、関東圏以外の地域では、稼働可能な経済資源も多く、復興需要にある程度対応できるため、成長率は従来よりもかなり高まる。ただ、一国全体で見ると、供給制約に直面した関東圏の停滞が日本経済全体の足を引っ張る。このため、震災後の復興需要による高成長があまり期待できない。1−3月、4-6月だけでなく7-9月もマイナス成長が続く恐れがあり、為替レートが円安にすすむ可能性も。
夏の電力消費が日本経済に停滞をもたらす
夏場の電力不足が懸念される中、政府は28日、温暖化対策として行っている「クールビズ」を1か月前倒しして来月から実施することを決めた。上着やネクタイを着用しないクールビズは例年、6月から9月まで行っている。しかし、関東地方などを中心に夏場に電力不足が懸念されることから、政府は28日朝、今年のクールビズ開始を来月1日から前倒しして始めるとともに、終了時期も10月末までに拡大して実施することを閣僚懇談会で決めた。夏の電力減少は日本経済の停滞をもたらし為替相場における日本円売りをもたらすかもしれない。FX投資家にはチャンスがおとずれるであろう。
特に製造業の落ち込みがはげしい。鉱工業生産指数が前月比で-10%以上。これを穴埋めするのが金融、電話端末業だ。株、FX、クレジット、iPhoneなどのスマートフォーン需要の高まりが期待される。
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